熱処理機械構造用鋼の選び方と熱処理特性
 
1.鉄鋼材料とは
   
2.機械構造用鋼の種類
   
  (1) 機械構造用鋼のJIS規格
   
  (2) 機械構造用炭素鋼
   
  (3) 機械構造用合金鋼
   
  (4) 焼入性を保証した構造用鋼
   
3.硬さと機械的性質の関係
   
4.JISによる機械的性質の比較
   
5.結晶粒度と諸特性との関係
   
6.機械構造用鋼の焼入れ焼戻し
   
  (1) 焼入条件の選定
   
  (2) 焼戻条件の選定
   
7.まとめ
   
 
 鉄鋼材料は、他の金属材料に比べて加工が容易であり、合金元素の添加や熱処理によって物理的性質や機械的性質を容易にコントロールすることができる。しかも、他の材料よりも安価なため、身近な小物部品から大物部品にいたるまでその構成材料として広く利用されている。一口に鉄鋼材料といっても、その種類は多く、それぞれ特徴も異なるため、個々の製品や部品の要求に応じた適正なものを選ばなければならない。日本工業規格(JIS)でも多くの鋼種が規格化されているが、最近では材料に対する要求がさらに厳しくなっており、JIS以外にも多くの鋼種が製造販売されている。

 機械構造用鋼とは、一般機械、産業用機械、輸送用機械などの構造用材料として用いられるもので、キルド鋼から製造されており、使用する際には機械加工や熱処理が施される。熱処理業界における受託加工対象材料の主体をなすもので、焼なまし、焼入れ焼戻し、浸炭焼入れ、窒化処理などが行われており、これらの熱処理によって用途に適応すべく特性が与えられている。